日銀が利上げに舵を切り、政策金利が1%前後に達した2026年。不動産投資家の間では「今は買い時なのか?」「金利上昇でキャッシュフローは大丈夫か?」という議論が活発になっています。
本記事では、日銀の現在の金利水準と今後の見通し、金利上昇が不動産投資に与える3つの影響、そして金利1%時代に勝つための投資戦略を2026年6月の最新データをもとに解説します。不動産投資の購入・継続・売却に迷っている方はぜひ参考にしてください。
Contents
日銀の現在の金利水準と2026年6月の利上げ観測
2024〜2026年の金利正常化の流れ
日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、17年ぶりとなる利上げを実施しました。その後も段階的に政策金利を引き上げ、2026年6月時点では政策金利(無担保コール翌日物)は0.75〜1.00%前後で推移しています。
市場では、インフレが目標の2%超を維持していることや、賃金上昇が持続していることを背景に、2026年内にさらに0.25〜0.5%の追加利上げが行われるとの見方が優勢です。
住宅ローン金利への波及
政策金利の引き上げは住宅ローン金利にも直接影響します。変動型住宅ローンの基準金利は2026年6月時点で各金融機関が相次いで引き上げており、主要銀行の実質適用金利は1.0〜1.8%程度(優遇後)となっています。2022年の0.5〜1.0%水準から大幅に上昇しており、不動産投資ローンも同様の傾向です。
不動産投資ローン(アパートローン)の実質金利は2026年6月現在、融資期間・物件属性・借入人属性によって異なりますが、1.5〜3.5%程度が目安です。
金利上昇が不動産投資に与える3つの影響
影響1:毎月の返済額(借入コスト)の増加
最も直接的な影響は月々の返済額の増加です。たとえば、3,000万円を35年ローンで借り入れた場合、金利1.0%(年)では月々の返済額は約84,800円。これが金利2.0%になると約99,400円、金利3.0%になると約115,400円と、大幅に増加します。
変動金利でローンを組んでいる場合、金利上昇は即座に返済額に影響します。利上げが1回(0.25%増)あるたびに3,000万円の借入で月々約3,000〜4,000円の増加となります。
影響2:物件価格への下押し圧力
金利上昇は一般的に不動産価格の下押し圧力となります。理由は2つあります。一つは、買い手側の購買力が低下すること(ローンで購入できる価格の上限が下がる)。もう一つは、利回り要求が高まり、同じ賃料水準でも物件の理論価値が下がることです。
ただし、2026年6月時点では東京都心部の物件価格は一部エリアで調整が見られるものの、供給不足と外国人投資家の需要が下支えとなっており、急落には至っていません。エリアや物件種別によって影響度は大きく異なります。
影響3:キャッシュフローの圧迫
金利上昇により、毎月のキャッシュフロー(家賃収入−返済額−諸経費)が悪化します。かつてはプラスキャッシュフローだった物件が、金利上昇によってマイナスに転じるケースも出てきています。
特に影響が大きいのは、高い融資比率(フルローン・オーバーローン)で購入した物件です。自己資金を多く入れてレバレッジを抑えることが、金利上昇局面では重要なリスク管理となります。
金利1%時代に「今買うべき人」vs「待つべき人」の判断基準
今買うべき人の条件
以下の条件を満たす方は、金利上昇局面でも購入を検討する価値があります。
自己資金を20%以上用意できる:自己資金比率が高いほどレバレッジが抑えられ、金利上昇の影響を受けにくくなります。
年収800万円以上・勤続年数5年以上:属性が良ければ金融機関から低金利での融資を引き出せる可能性が高くなります。
都心・駅近・築浅物件を選べる:空室率が低く、賃料が安定している物件は金利上昇局面でも収益が維持されやすいです。
固定金利または金利上昇でもキャッシュフローがプラスになる物件:金利が1%追加で上昇してもキャッシュフローがプラスを維持できる物件のみ購入する、というルールが有効です。
待つべき人の条件
反対に、以下の状況にある方は慎重に判断する必要があります。変動金利で既に複数物件を保有しており、これ以上の金利上昇でキャッシュフローがマイナスになる可能性がある場合。自己資金がほとんどなく、フルローンを想定している場合。物件の選択肢が郊外・築古・駅遠に限定されており、空室リスクが高い場合などです。
金利上昇時代に強い物件の条件
金利が上昇する局面でも安定した収益を確保できる物件には、共通した特徴があります。
東京都心・駅徒歩5分以内:空室率が低く、賃料が安定している。売却時の流動性も高い。
表面利回り5%以上(都心の場合):借入コストが増えても実質利回りが確保できる水準。2026年時点の都心の相場(3〜4%台)では、やや高い利回りを狙う必要があります。
築年数20年以内:修繕費が比較的少なく、長期保有に向いている。また融資が通りやすい。
賃貸需要が旺盛なエリア:就業者・学生・外国人居住者が多い港区・渋谷区・中野区・豊島区などが該当します。
詳しい物件選びの基準については不動産投資ローン審査と融資攻略の記事やキャッシュフロー計算の記事も参考にしてください。また、日銀金利と不動産投資の基礎知識についても解説しています。
金利上昇時代の投資戦略3選
戦略1:固定金利への借り換えを検討する
現在変動金利でローンを組んでいる方は、固定金利への借り換えを検討する価値があります。2026年6月現在、10年固定金利は1.5〜2.5%程度の水準です。変動金利との差がまだ0.5〜1.0%程度あるため、これ以上の利上げが見込まれる場合は固定への切り替えがリスクヘッジになります。
ただし、借り換えには諸費用(登記費用・手数料など)が数十万円かかるケースもあるため、総合的なコスト計算が必要です。
戦略2:物件売却タイミングの見極め
金利上昇局面は「出口戦略」を考える好機でもあります。都心の物件は依然として外国人投資家の需要があり、高値での売却が可能な時期は続いています。キャッシュフローが悪化している物件、あるいは売却益が大きく見込める物件は、この局面での売却も選択肢の一つです。
戦略3:新規購入は「高利回り・高属性・都心」のみに絞る
金利上昇局面では、収益性の低い物件への投資リスクが高まります。新規購入の基準を厳格化し、表面利回り5%以上・都心・駅近・自己資金20%以上という条件を全て満たす物件のみに絞ることで、リスクをコントロールしながら投資を継続できます。
まとめ:金利1%時代でも不動産投資は有効な選択肢
日銀の利上げにより不動産投資を取り巻く環境は確かに変化しています。しかし、東京都心の不動産は依然として安定した賃料収入と資産価値の維持が期待できる投資対象です。重要なのは「金利が上がったから不動産投資をやめる」ではなく、「金利上昇環境に合わせた物件選び・資金計画をする」という考え方です。
自己資金の確保、属性の維持・向上、都心・駅近物件への集中投資というシンプルな原則を守ることで、金利1%時代でも安定した不動産投資が可能です。