「利回り5%の物件を見つけた!」と思ったことはありませんか?でも実際に運用を始めると、手元に残るお金は利回り5%の半分以下だったという話は珍しくありません。
不動産広告に掲載されている「利回り○%」は表面利回りという計算式で算出されており、実際のコストを一切含んでいません。これが「表面利回りの罠」です。
本記事では、表面利回りと実質利回りの違い・不動産広告に隠れたコストの全貌・2026年の東京市場での現実的な数字を解説します。
この記事でわかること
- 表面利回りの計算式と限界
- 広告が省略している6つのコスト
- 表面5%が実質3%になる仕組み
- 不動産広告の正しい読み解き方
- 実質利回りの計算方法(次記事へ)
Contents
表面利回りとは?計算式と限界
表面利回りの計算式
表面利回り(グロス利回り)は、以下の非常にシンプルな計算式で算出されます。
表面利回り(%)= 年間想定賃料収入 ÷ 物件価格 × 100
例:物件価格2,000万円・月家賃8万円の場合
年間賃料96万円 ÷ 2,000万円 × 100 = 表面利回り4.8%
計算式はシンプルですが、ここには重大な省略があります。「年間想定賃料収入」は満室・空室ゼロを前提とした最大値であり、維持管理にかかる一切のコストが含まれていません。
なぜ広告は表面利回りを使うのか
答えは単純で、数字が大きく見えるからです。同じ物件でも、表面利回りは実質利回りより1〜2ポイント高く表示されます。「利回り5%」と「利回り3.2%」では、読者の印象がまったく異なります。
不動産業者が意図的に嘘をついているわけではありませんが、業界慣行として表面利回りが使われ続けており、初心者が陥りやすい失敗の上位に常にランクインしています。
広告が省略している6つのコスト
表面利回りの計算に含まれていないコストを確認しましょう。以下6項目が主なものです。
| コスト項目 | 月額目安(区分マンション) | 年額目安 |
|---|---|---|
| 管理費・修繕積立金 | 1〜2万円 | 12〜24万円 |
| 固定資産税・都市計画税 | 約8,000〜15,000円(月割) | 10〜18万円 |
| 賃貸管理委託費 | 家賃の3〜5%(2,400〜4,000円) | 3〜5万円 |
| 空室損失 | 年1〜2ヶ月分(月割6,700〜13,300円) | 8〜16万円 |
| 修繕・設備更新 | 平均月5,000〜10,000円(積立ベース) | 6〜12万円 |
| 火災保険・地震保険 | 約1,000〜2,000円(月割) | 1〜2万円 |
合計すると月あたり約3〜5万円、年間で36〜60万円のコストが表面利回りの計算に含まれていません。
実例:表面5%が実質3%以下になる仕組み
東京23区ワンルーム(2,000万円・月家賃8万円)の場合
| 項目 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|
| 家賃収入(満室想定) | +80,000円 | +960,000円 |
| 管理費・修繕積立金 | ▲15,000円 | ▲180,000円 |
| 固定資産税(月割) | ▲10,000円 | ▲120,000円 |
| 賃貸管理委託費(4%) | ▲3,200円 | ▲38,400円 |
| 空室損失(年1.5ヶ月) | ▲10,000円 | ▲120,000円 |
| 修繕積立(自己) | ▲8,000円 | ▲96,000円 |
| 保険料(月割) | ▲1,500円 | ▲18,000円 |
| 実質手取り収入 | +32,300円 | +387,600円 |
実質手取り収入387,600円 ÷ 物件価格2,000万円 × 100 = 実質利回り約1.9%
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表面利回り4.8%に対して、実質利回りは1.9%。約60%目減りします。これが「表面利回りの罠」の実態です。
購入諸費用も含めると利回りはさらに下がる
さらに、正確な実質利回り計算では物件価格だけでなく購入時の諸費用(仲介手数料・登記費用・不動産取得税など=物件価格の5〜8%)も分母に加えます。
2,000万円の物件で諸費用が120万円だった場合、分母は2,120万円になり、実質利回りはさらに低下します。詳細な計算方法は次の記事で解説します。
不動産広告の正しい読み解き方
チェックすべき4つのポイント
広告を見る際の必須チェック項目
- ① 利回りは表面か実質か:「表面利回り」と明記されていない場合も表面利回りのことが多い
- ② 「満室想定」の文言:空室リスクを含まない最大値の提示
- ③ 管理費・修繕積立金の金額:物件価格と別に記載されているか確認
- ④ 築年数と修繕履歴:築古物件は大規模修繕リスクが高い
「高利回り物件」は要注意サイン
表面利回り8%以上の物件は、なぜ高利回りになっているかを必ず考えましょう。主な理由は3つです。
- 立地が悪い:駅遠・郊外・地方で空室リスクが高い
- 築年数が古い:修繕費・設備更新費が高額になりやすい
- 賃料設定が強引:現行賃料が相場より高く、更新時に下がるリスクがある
高利回り物件は「リスクが高い分だけ利回りが高い」ケースがほとんどです。東京の利回り相場と比較して異常値の物件には慎重に接しましょう。
2026年の東京市場:現実的な実質利回りの水準
2026年4月時点の東京都心区分マンションの利回り水準(推計・TRL調査):
| エリア | 表面利回り目安 | 実質利回り目安 |
|---|---|---|
| 山手線内側(港・渋谷・新宿) | 3.0〜3.8% | 1.5〜2.2% |
| 城南・城西(目黒・世田谷・杉並) | 3.5〜4.2% | 2.0〜2.8% |
| 城東・城北(江東・荒川・足立) | 4.0〜5.5% | 2.5〜3.5% |
| 東京郊外(多摩・八王子方面) | 5.0〜7.0% | 3.0〜4.5% |
※上記は推計値です。物件・築年数・管理費水準によって大きく異なります。
「不動産投資を始めるにあたって利回り3%台では割に合わない」という声もありますが、東京都心の投資は空室リスクの低さ・流動性・価格上昇期待とのトレードオフです。利回りだけで物件を評価しないことが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 表面利回りと実質利回り、どちらを信じればいいですか?
A. 実質利回りで判断してください。ただし、自分でコストを計算する必要があります。実際のコスト(管理費・修繕積立金・固定資産税・空室損失)を把握したうえで実質利回りを計算する方法は、次の記事で詳しく解説しています。
Q2. 利回り何%以上なら投資対象になりますか?
A. 実質利回りで3%以上が一般的な目安ですが、目的によって異なります。節税・資産形成目的なら実質2〜3%台でも意味があります。キャッシュフロー黒字を目的とするなら、ローン金利(1%台)との差で判断する必要があります。
Q3. 広告の利回りが「実質」と書いてあれば信頼できますか?
A. 必ずしも信頼できません。「実質利回り」と記載されていても、どのコストを含めているかが業者によって異なります。自分でコストを計算して検証することを推奨します。
Q4. 利回りが低くても買う価値がある物件はありますか?
A. あります。特に東京都心の物件は、節税効果(損益通算・減価償却)・価格上昇期待・空室リスクの低さを考慮すると、実質利回り2%台でも合理的な投資になるケースがあります。
Q5. 表面利回りから実質利回りを概算する簡単な方法はありますか?
A. 「表面利回り × 0.6〜0.7」が東京区分マンションの概算です。表面4%なら実質2.4〜2.8%、表面5%なら実質3.0〜3.5%を目安にしてください。ただし物件ごとの誤差が大きいため、必ず詳細計算をしてください。
まとめ
- 表面利回りはコストを一切含まない「最大値」であり、広告での標準的な表示方法
- 管理費・固定資産税・空室損失・修繕費などを含めると、実質利回りは表面より40〜60%低下する
- 東京都心区分マンションの実質利回りは1.5〜3.5%が現実的な水準(2026年時点)
- 高利回り物件は立地・築年数・賃料設定に問題があるケースが多い
- 利回りだけで判断せず、目的(節税・CF・資産形成)に応じた評価軸を持つことが重要
実質利回りの正確な計算方法は、次の記事「実質利回りの計算方法【2026年版】」で詳しく解説します。
東京不動産投資ラボ編集部
東京都心の区分マンション投資を専門に情報発信。再開発エリアの最新動向と資産性分析を中心に執筆。