「変動金利で借りているけど、これ以上金利が上がったら大丈夫だろうか?」──2024〜2026年にかけての日銀利上げにより、この不安を抱える投資家・住宅購入者が急増しています。
本記事では、金利が0.5%・1.0%・1.5%上昇した場合に、毎月の返済額がどう変わるかをシミュレーションで具体的に示します。数字で理解することが、リスク管理の第一歩です。
Contents
2026年の変動金利はどこまで上がったか
日銀の利上げ経緯と現在の短期金利
日本銀行は2024年3月にマイナス金利を解除し、同年7月・2025年1月と段階的に利上げを実施してきました。政策金利(無担保コール翌日物)は2026年4月時点で0.5%前後で推移しています。
これを受けて、メガバンク・地銀の変動金利型住宅ローン・投資ローンの適用金利は、底値だった2021年頃(0.3〜0.5%台)から0.8〜1.5%台に上昇しています。
日銀レポートが示す「さらなる上昇リスク」
2026年4月に公表された日銀の金融システムレポートは、変動金利住宅ローンについて「返済変更型で月4〜6千円の返済増」という試算を示しました。これは現時点での影響ですが、今後さらに利上げが続けばインパクトはより大きくなります。
変動金利シミュレーション:借入額・期間別の返済額比較
前提条件
以下のシミュレーションは、元利均等返済方式で計算しています。管理費・修繕積立金などは含みません。
【借入3,000万円・返済35年】
| 金利 | 月返済額(概算) | 現在比増減 | 35年総返済額 |
|---|---|---|---|
| 現在(1.0%) | 約84,700円 | ― | 約3,557万円 |
| +0.5%(1.5%) | 約91,600円 | +6,900円/月 | 約3,847万円 |
| +1.0%(2.0%) | 約99,000円 | +14,300円/月 | 約4,158万円 |
| +1.5%(2.5%) | 約106,700円 | +22,000円/月 | 約4,481万円 |
金利が1%上昇するだけで、年間約17万円(35年で約600万円)の追加負担が発生します。
【借入5,000万円・返済35年】
| 金利 | 月返済額(概算) | 現在比増減 | 35年総返済額 |
|---|---|---|---|
| 現在(1.0%) | 約141,200円 | ― | 約5,930万円 |
| +0.5%(1.5%) | 約152,700円 | +11,500円/月 | 約6,413万円 |
| +1.0%(2.0%) | 約165,000円 | +23,800円/月 | 約6,930万円 |
| +1.5%(2.5%) | 約177,900円 | +36,700円/月 | 約7,472万円 |
【借入7,000万円・返済35年(都心投資物件ケース)】
| 金利 | 月返済額(概算) | 現在比増減 | 35年総返済額 |
|---|---|---|---|
| 現在(1.2%) | 約207,000円 | ― | 約8,694万円 |
| +0.5%(1.7%) | 約223,800円 | +16,800円/月 | 約9,400万円 |
| +1.0%(2.2%) | 約241,200円 | +34,200円/月 | 約10,130万円 |
| +1.5%(2.7%) | 約259,100円 | +52,100円/月 | 約10,882万円 |
7,000万円の借入で金利が1.5%上昇すると、月5万円超、年60万円超の返済増になります。これが賃料収入をどこまで圧迫するかが投資判断の鍵です。
不動産投資ローンへの影響:賃料収入との収支シミュレーション
ケーススタディ:城東エリア区分マンション(5,000万円・家賃15万円)
都内城東エリアで5,000万円の区分マンションを購入。家賃収入15万円/月(年間180万円)というケースで試算します。
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| 金利 | 月返済額 | 月収支(賃料-返済) | 年間CF |
|---|---|---|---|
| 1.0% | 141,200円 | +8,800円 | +105,600円 |
| 1.5%(+0.5%) | 152,700円 | ▲2,700円 | ▲32,400円 |
| 2.0%(+1.0%) | 165,000円 | ▲15,000円 | ▲180,000円 |
金利が0.5%上昇しただけで月次キャッシュフローがマイナスに転落するケースです。管理費・修繕積立金・固定資産税を加味すればさらに悪化します。この「ギリギリの収支設計」が、不動産投資の失敗を招く典型パターンです。
変動金利リスクへの3つの対策
①返済余力を事前に確認する「ストレステスト」
物件購入前に「金利が2%になっても返済できるか」を試算しておきましょう。賃料収入から返済・諸費用を引いた月次キャッシュフローがマイナスになる金利水準(損益分岐金利)を把握することが重要です。
②固定金利への切り替えを検討する
現在変動金利で借りている方は、固定金利への切り替えコスト(一般的に金利0.3〜0.8%上乗せ)と今後の上昇リスクを比較検討しましょう。「5年後に2%に上がるなら、今1.8%固定に切り替えた方が得」という判断が合理的な場合があります。
③繰り上げ返済で元本を削る
金利上昇時に最も効果的なのは元本圧縮です。手元資金に余裕がある時期に繰り上げ返済を行い、残債を減らしておくことで、金利上昇の影響を軽減できます。
よくある質問
Q. 変動金利は今後どこまで上がりますか?
A. 日銀の政策次第ですが、多くのエコノミストは「2026〜2027年に0.75〜1.0%まで引き上げ」を見込んでいます。一般的な変動金利ローンはこれより0.5〜1.0%程度高い水準で設定されるため、最終的に変動金利が2〜3%台に達する可能性もゼロではありません。
Q. 変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきですか?
A. 返済期間・手元流動性・リスク許容度によります。「金利が上がっても毎月の返済増加額が家計に影響しない」なら変動金利でもよいですが、「ギリギリの収支」で回している場合は固定金利での安定確保を優先すべきです。
Q. 金利上昇が不動産価格に与える影響は?
A. 金利上昇は「借入コストの増大→需要減少→価格下落圧力」という経路で価格に影響します。ただし2026年の首都圏相場を見ると、建設コスト上昇や都心需要の強さがこれを相殺しており、急落には至っていません。今後の価格動向は金利上昇のペースと需給バランスの綱引きで決まります。
金利上昇リスクへの対処法まとめ
今すぐできる3つのアクション
- 現在の返済比率を確認する:月の返済額 ÷ 月の家賃収入 × 100 を計算。50%以下なら金利1%上昇でも余裕があります
- 固定金利への借換えを検討する:変動金利ローンの場合、現在の金利水準が低い今が固定金利への借換えの好機です。借換え費用(登記費用・事務手数料等)との費用対効果を確認してください
- 繰上げ返済で元本を減らす:元本が減ると金利上昇の影響額も比例して小さくなります。手元資金に余裕があれば繰上げ返済が有効なリスクヘッジです
2026〜2028年の金利見通し
2024年3月に日本銀行がマイナス金利を解除し、その後も段階的な利上げが続いています。多くのエコノミストは2026〜2027年にかけて政策金利が0.5〜1.0%台に達すると予測しています。不動産投資ローンへの影響は短期金利に連動する変動金利で0.5〜1.0%の上昇が見込まれます。
ただし、金利上昇のペースはあくまで経済動向次第です。「必ず大幅上昇する」とも「低水準が続く」とも断言できない状況です。最善の対策は「金利が1〜2%上昇しても収益が確保できる物件を選ぶ」ことです。金利上昇時代の投資判断記事も合わせてご確認ください。
まとめ:数字で把握して、冷静な判断を
変動金利リスクは「漠然とした不安」ではなく、借入額・返済期間・賃料収入の3つで具体的に数値化できるものです。本記事のシミュレーションを参考に、自分のポートフォリオで「金利〇%なら月〇円の影響」を計算してみてください。
不動産投資における金利リスク管理は、プロに相談することでより精度が高まります。無料で個別シミュレーションを作成してもらえる専門家への相談を活用しましょう。
東京不動産投資ラボ編集部。東京都内を中心に不動産市場データの収集・分析を行い、投資家目線の情報を発信しています。本記事のシミュレーション数値は元利均等返済の概算であり、実際の返済額は金融機関・ローン条件によって異なります。
東京不動産投資ラボ編集部
東京都心の区分マンション投資を専門に情報発信。再開発エリアの最新動向と資産性分析を中心に執筆。