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「マイホームも買いたいけど不動産投資もしたい——でも両方のローンは組めるの?」これは多くの会社員が抱える悩みです。結論から言えば、不動産投資ローンと住宅ローンは両立できます。ただし、審査への影響を正しく理解し、適切な順序で進めることが重要です。
Contents
不動産投資ローンと住宅ローンの基本的な違い
| 比較項目 | 不動産投資ローン | 住宅ローン |
|---|---|---|
| 目的 | 収益物件の取得 | 自己居住用物件の取得 |
| 金利水準 | 1.5〜4%程度(変動) | 0.3〜1.5%程度(変動) |
| 融資限度 | 年収の8〜10倍程度 | 年収の5〜8倍程度 |
| 審査の厳しさ | 厳しい | やや緩い |
| 返済原資 | 家賃収入 | 給与収入 |
不動産投資ローンが住宅ローン審査に与える影響
不動産投資ローンを先に組んでいる状態で住宅ローンを申し込む場合、返済比率(年収に占める年間返済額の割合)が審査の焦点になります。
多くの金融機関では返済比率の上限を30〜35%程度に設定しています。既存の不動産投資ローンの返済額が大きいと、希望する住宅ローンの金額まで届かない可能性があります。
ただし、投資物件の収支が良好(家賃収入でローン返済をカバーできている)な場合は、金融機関によって有利に見てもらえるケースもあります。
「投資ローンを先に組む」が正解な理由
一般的に、不動産投資ローンを先に、住宅ローンは後から組むのが有利とされています。
- 不動産投資ローンの方が審査が厳しい:先に住宅ローンで借入枠を使ってしまうと、その後の投資ローン審査で融資が受けにくくなる
- 投資物件の家賃収入が返済に充当できる:住宅ローン審査時に「既存ローンの返済は家賃収入で賄える」という説明ができる
- 金融機関の融資枠を効率的に使える:収益性の高い投資ローンを先に確保し、残りの枠で住宅ローンを組む形が合理的
年収別・両立シミュレーション
| 年収 | 投資ローン残高目安 | 住宅ローン可能額目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 2,000万円程度 | 2,500〜3,000万円 | 返済比率35%が上限になりやすい |
| 700万円 | 3,000万円程度 | 3,500〜4,000万円 | 家賃収入がある場合は有利 |
| 1,000万円 | 5,000万円程度 | 5,000万円程度 | 資産背景があれば両立しやすい |
まとめ:両立のカギは「順序」と「収支の健全性」
- 不動産投資ローンと住宅ローンの両立は可能だが、審査への影響を把握して計画的に進めることが重要
- 一般的には「投資ローン→住宅ローン」の順序が有利
- 投資物件の収支が良好(毎月のCFがプラス)であれば住宅ローン審査でも有利に働く
- 返済比率が35%を超えないよう、事前に試算しておくことが必須
審査の実務:金融機関が見ているのは「総返済負担率」
「投資ローンがあると住宅ローンが組めない」という説明を受けることがありますが、これは正確ではありません。金融機関が見ているのは総返済負担率(すべての借入れの年間返済額 ÷ 年収)という1つの指標です。
住宅金融支援機構の【フラット35】では、利用条件として次の基準が公表されています。
| 年収 | 総返済負担率の基準 |
|---|---|
| 400万円未満 | 30%以下 |
| 400万円以上 | 35%以下 |
計算式は「すべての借入れの年間返済額 ÷ 12 ÷(年収 ÷ 12)× 100」。ここでいう「すべての借入れ」には、不動産投資ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローン、奨学金、リボ払いの残債まで含まれます。民間の住宅ローンは基準こそ各行独自ですが、考え方は共通です。
つまり投資ローンが住宅ローンを「不可」にするのではなく、枠を先に食うのです。両立できるかどうかは、この枠の残りがいくらあるかで決まります。
年収別・具体的な枠の計算
総返済負担率35%で計算した場合の、年間返済額の上限は次のとおりです。
| 年収 | 年間返済額の上限(35%) | 月額換算 |
|---|---|---|
| 500万円 | 175万円 | 約14.6万円 |
| 600万円 | 210万円 | 約17.5万円 |
| 800万円 | 280万円 | 約23.3万円 |
| 1,000万円 | 350万円 | 約29.2万円 |
たとえば年収600万円の方が、月8万円の投資ローンをすでに抱えているとします。年間96万円がすでに埋まっているため、住宅ローンに使える枠は210万円−96万円=114万円(月9.5万円)。ここに自動車ローンが月2万円あれば、さらに減って月7.5万円です。これが「投資を先にやると自宅が小さくなる」と言われる正体です。
「投資ローンを先に」が定石とされる理由と、その例外
一般に「投資ローン→住宅ローン」の順序が推奨されるのは、投資ローンの審査のほうが属性(年収・勤続年数・勤務先)への依存度が高いためです。住宅ローンを先に組むと、その返済額が丸ごと負担率に乗るため、投資ローンの審査で弾かれやすくなります。
ただし、この定石には無視できない例外があります。
例外①:数年以内にマイホームを買うことが確定している場合
自宅は生活の基盤であり、投資は選択肢です。優先順位が明確に自宅にあるなら、住宅ローンを先に組むべきです。住宅ローンは金利が投資ローンより大幅に低く(変動で0.3〜1.5%程度に対し投資ローンは1.5〜4%程度)、住宅ローン控除も使えます。この差を投資の利回りで取り返すのは容易ではありません。
例外②:投資物件のキャッシュフローがマイナスの場合
金融機関は投資物件の収支も見ます。家賃収入で返済を賄えている物件は、負担率の計算で家賃収入を年収に加算してくれる金融機関もあります。逆に毎月持ち出しが出ている物件は、審査でマイナス評価になり得ます。「とりあえず1件」で収支の悪い物件を買うと、自宅の選択肢まで狭めることになります。
例外③:転職予定がある場合
勤続年数は両方の審査に効きます。転職直後は年収が同じでも通りにくくなるため、転職前にどちらを優先するか決めておく必要があります。
住宅ローン控除との関係で見落とされがちな点
住宅ローン控除は自己居住用の住宅が対象です。投資用として購入した物件を後から自宅にする、あるいは自宅として買った物件を賃貸に出す、といった切り替えには税務上の制約があります。とくに住宅ローンで購入した物件を賃貸に出すのは、原則として契約違反です。金融機関に無断で行うと、一括返済を求められるリスクがあります。
転勤などやむを得ない事情がある場合は、必ず事前に金融機関へ相談してください。
実務的な進め方:3つのステップ
- 現在の負担率を棚卸しする:自動車ローン、奨学金、カードローン、スマホ端末の分割払いまで含めて年間返済額を合計する。信用情報に載るものはすべて対象です
- 自宅の希望価格を先に決める:ここが決まらないと投資に回せる枠が計算できません。自宅を後回しにするなら、いくらまでなら妥協できるかを数字で決めておきます
- 残った枠で投資物件を探す:枠に物件を合わせるのであって、物件に枠を合わせるのではありません。金融機関ごとの姿勢はオリックス銀行の不動産投資ローン、東京スター銀行の不動産投資ローン、千葉銀行アパートローンで比較しています
よくある質問(FAQ)
Q1. 投資ローンの残債は住宅ローン審査でどう見られますか?
金融機関によって扱いが分かれます。①年間返済額をそのまま負担率に加算する、②家賃収入の一定割合を年収に加算したうえで返済額を差し引く(実質的な収支だけを見る)、の2パターンが代表的です。②の扱いをする金融機関を選べば、収支の良い物件はむしろプラスに働きます。事前に確認してください。
Q2. 投資物件を売却してから住宅ローンを申し込むべきですか?
売却して残債が消えれば負担率は改善しますが、売却損が出ると手元資金が減り、頭金が足りなくなる可能性があります。負担率の改善幅と売却損を数字で比較してから判断してください。
Q3. 妻(夫)名義で分ければ両方組めますか?
名義を分けること自体は可能ですが、収入合算やペアローンを使う場合は世帯の借入れが合算されます。また連帯保証人になれば、その債務も自身の審査に影響します。「名義を分ければ無制限に借りられる」ということはありません。
Q4. 年収600万円で両立は現実的ですか?
年間返済額の上限が210万円(月17.5万円)ですから、住宅ローン月12万円+投資ローン月5.5万円といった配分になります。投資側は2,000万円前後の区分マンション1件が現実的なラインです。詳しくは年収600万円で不動産投資は有利?をご覧ください。
まとめ
- 投資ローンは住宅ローンを「不可」にするのではなく、総返済負担率の枠を先に食う
- フラット35の基準は年収400万円以上で35%以下。年収600万円なら年間210万円が上限の目安
- 一般論では「投資ローン→住宅ローン」が有利。ただし数年以内に自宅を買うことが確定しているなら自宅が先
- 収支がマイナスの投資物件は、自宅の選択肢まで狭める
- 住宅ローンで買った物件を無断で賃貸に出すのは契約違反。一括返済リスクがある
出典:住宅金融支援機構【フラット35】ご利用条件(総返済負担率の基準)
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