イールドギャップとは?「利回り−金利」で計算すると失敗する理由を実例で解説【2026】

※本記事にはプロモーション(アフィリエイト広告)が含まれます。紹介する会社は報酬額ではなく、比較検討の材料になるかどうかで選んでいます。

不動産投資の営業トークで「イールドギャップが2%あるので安全です」という説明を受けたことはないでしょうか。その2%が「表面利回り−借入金利」で計算されているなら、その数字はほとんど意味がありません。

この記事では、イールドギャップの正しい計算方法と、なぜ「利回り−金利」が危険なのかを実額で示します。金利が上がっている2026年においては、この違いを理解しているかどうかで判断が大きく変わります。

イールドギャップとは何か

イールドギャップ(Yield Gap)は、物件から得られる利回りと、借入にかかるコストの差を示す指標です。この差が大きいほど、借入を使ったときに手元に残る現金が増えます。

考え方はシンプルですが、「借入にかかるコスト」を何で測るかで結論が正反対になります。ここが最大の落とし穴です。

「利回り−金利」が危険な理由

多くの資料で使われる計算式はこれです。

イールドギャップ = 表面利回り − 借入金利

表面利回り4.0%、借入金利2.45%なら、4.0% − 2.45% = 1.55pt。プラスなので問題なさそうに見えます。

しかしこの式には返済期間という最重要の変数が入っていません。金利が同じ2.45%でも、返済期間が35年か25年かで、毎年出ていく現金はまったく違います。金利だけを見るのは、元金の返済を無視しているということです。

正しい計算:ローン定数(K%)を使う

実務で使われるのは、返済期間を織り込んだローン定数(K%)です。

ローン定数K% = 年間の元利返済額 ÷ 借入残高 × 100

元金返済も含めた「実際に毎年出ていく現金の割合」を表します。イールドギャップは次の式で計算します。

イールドギャップ = 利回り − ローン定数K%

金利・期間別のローン定数一覧

金利 25年 30年 35年
1.9% 5.03% 4.38% 3.91%
2.2% 5.20% 4.56% 4.10%
2.45% 5.35% 4.71% 4.26%
2.7% 5.51% 4.87% 4.42%

金利2.45%でも、ローン定数は35年で4.26%、25年なら5.35%です。金利の数字とはまったく違う水準になることが分かります。

実例:都心の区分マンションで計算してみる

物件価格3,000万円、年間家賃120万円(表面利回り4.0%)、フルローン・金利2.45%・35年で試算します。

計算方法 式 結果
誤った計算 表面4.0% − 金利2.45% +1.55pt(安全に見える)
正しい計算 表面4.0% − K4.26% −0.26pt
運営費も反映 実質2.6% − K4.26% −1.66pt

実際の現金の動きで確認します。

  • 年間家賃収入:1,200,000円
  • 年間返済額:1,277,355円(月106,446円)
  • この時点で −77,355円
  • 運営費(管理費・修繕積立金・固定資産税等)年35万円を引くと−427,355円

つまりこの条件では、年間約42.7万円を持ち出しながら保有することになります。「イールドギャップ1.55%だから安全」という説明とは、まるで違う現実です。運営費の内訳は区分マンション投資の初期費用・ランニングコスト全一覧にまとめています。

自分の物件のイールドギャップを無料セミナーで学ぶ

ローン定数の考え方と、借入条件から逆算した収支の組み立て方を実例つきで解説しています。

無料セミナーで収支設計を学ぶ▶

※完全無料・オンライン対応可

2026年の金利上昇でギャップはどう動くか

2026年10月から多くの銀行が変動金利を0.25%程度引き上げます。3,000万円・35年のケースで、ローン定数と収支がどう変わるかを見ます。

金利 ローン定数K% YG(表面4.0%基準) YG(実質2.6%基準)
2.2% 4.10% −0.10pt −1.50pt
2.45%(10月以降) 4.26% −0.26pt −1.66pt
2.7%(年内もう一段) 4.42% −0.42pt −1.82pt

金利が0.5%上がると、ローン定数は約0.32pt上昇します。金利の上昇幅より小さく見えますが、元金返済という固定部分があるためです。返済額の実額変化は2026年10月の変動金利引き上げで確認できます。

イールドギャップをプラスにする4つの方法

  1. 自己資金を入れる——借入額が減れば年間返済額が減り、投下資本に対する手残りが改善します。表面4%台の都心区分では、2〜3割の自己資金が現実的な目安です
  2. 返済期間を延ばす——35年にすればローン定数は下がります。ただし総支払利息は増え、デッドクロスも早く訪れます。目先のキャッシュフローと総コストのトレードオフです
  3. 利回りの高い物件を選ぶ——ローン定数4.26%を上回るには、実質利回りで5%以上が必要です。都心区分では難しく、築古や郊外、一棟が候補になりますが、それぞれ別のリスクを抱えます
  4. 運営費を下げる——管理手数料の見直しなど。ただし削れる幅は限定的で、根本解決にはなりません

2の返済期間延長は、デッドクロスとの関係を必ず確認してください。減価償却が終わった後に元金返済だけが残ると、帳簿は黒字なのに現金が減る状態になります。

イールドギャップの目安はどのくらいか

一般に実質利回り基準で1.0〜1.5pt以上あれば健全とされます。ただしこれは絶対的な基準ではなく、次の点に注意が必要です。

  • 変動金利ならギャップは将来縮む前提で見る——今プラス1.0ptでも、金利が1%上がれば消えます
  • 空室リスクが織り込まれていない——年1か月空室が出れば、家賃収入は8.3%減ります
  • ギャップがマイナスでも即失敗ではない——都心区分は元金返済による純資産の積み上がりと将来の売却益を狙う設計であり、キャッシュフローがマイナスでも成立する戦略はあります。ただしそれは「毎月持ち出す」ことを理解して選んだ場合に限られます

利回りの前提となる計算については表面利回りの罠と実質利回りの計算方法、エリア別の利回り水準は東京の不動産投資 利回り相場を参照してください。借入条件の見直しは金利上昇後の不動産投資ローン対応にまとめています。

よくある質問

Q1. ローン定数は返済が進むと変わりますか?

元利均等返済では毎年の返済額が一定なので、借入残高が減るにつれてローン定数は上昇していきます。式の分母(残高)が小さくなるためです。当初はプラスだったギャップが、年数の経過とともに縮んでいく点は覚えておいてください。

Q2. 自己資金を入れた場合はどう計算しますか?

ローン定数は借入部分にのみ適用します。自己資金1,000万円・借入2,000万円なら、年間返済額は借入2,000万円分だけです。投下資本全体(3,000万円+諸費用)に対する手残りの比率で見ると、自己資金を入れるほどキャッシュフローは改善しますが、自己資金利回りは別途評価が必要です。

Q3. イールドギャップがマイナスの物件は買ってはいけませんか?

一概には言えません。都心の区分マンションは元金返済によって純資産が積み上がる設計であり、月々の持ち出しを「積立」と捉える考え方はあります。問題は、それを理解せずに「安全です」と説明されて買うことです。持ち出し額を把握し、それが何年続くのかを確認したうえで判断してください。

Q4. 一棟物件ならギャップは取れますか?

表面利回りは区分より高い傾向がありますが、一棟は運営費率が高く(家賃収入の20〜30%程度)、大規模修繕の負担も自分で背負います。表面利回りの差がそのままギャップの差にはなりません。実質利回りベースで比較してください。

まとめ

  • イールドギャップを「利回り−金利」で計算するのは誤り。元金返済が無視されている
  • 正しくはローン定数K%(年間返済額÷借入額)を使う
  • 表面4.0%・金利2.45%・35年なら、実際のギャップは−0.26pt。運営費を入れると−1.66pt
  • このケースでは年間約42.7万円の持ち出しになる
  • プラスにするには自己資金の投入が最も現実的。目安は実質利回り基準で1.0〜1.5pt以上

営業資料でイールドギャップを提示されたら、「それはローン定数で計算していますか」と一言確認するだけで、判断の精度は大きく変わります。

検討中の物件の収支を無料で診断してもらう

提示された物件のイールドギャップが本当にプラスなのか。借入条件を含めた収支を無料でシミュレーションしてもらえます。

無料面談・シミュレーションを申し込む▶

※完全無料・オンライン対応可

※本記事は2026年9月時点の情報にもとづく一般的な解説であり、特定の投資判断を推奨するものではありません。試算は元利均等返済・記載の前提条件にもとづく概算です。実際の借入条件は金融機関により異なります。

あわせて読みたい:変動金利が何に連動して動いているのか、自分の借入先が短プラを参照しているかどうかは短期プライムレートとは?不動産投資ローンへの影響と銀行選びの落とし穴で整理しています。