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「まずはメガバンクに相談してみよう」——不動産投資の融資でそう考える方は少なくありません。ところが実際に3行の公開情報を並べてみると、三菱UFJ・三井住友・みずほで個人投資家に対する構えは同じではありません。本記事では、各行が公式サイトで公開している商品情報をもとに、メガバンク3行が賃貸物件向け融資にどう向き合っているかを確認し、区分マンション投資を検討する個人がどこを見るべきかを整理します。
Contents
結論:3行のうち、個人向けアパートローンを商品として公開しているのは三井住友銀行
2026年8月時点で各行の公式サイトを確認した結果は次のとおりです。
| 銀行 | 個人向け賃貸物件融資の公開状況 |
|---|---|
| 三井住友銀行 | 個人向け商品「直担アパートローン」を公式サイトで公開。賃貸住宅の建築・購入・リフォーム資金が対象 |
| 三菱UFJ銀行 | 個人向け「ローン金利」ページに掲載されているのは住宅・教育・マイカー・リフォーム・カードローンのみ。アパートローンの記載はない |
| みずほ銀行 | 住宅ローンは本人居住用が対象で「賃貸の目的にはご利用できません」と明記。ローン専門拠点の案内には「アパートローン等一部お取り扱いできないローン商品」がある旨の記載がある |
ここで注意していただきたいのは、公式サイトに掲載がないことと、取り扱いが一切ないことは同義ではないという点です。法人取引や資産家向けの個別対応は公開情報の外側にあります。ただし「一般の個人投資家が、公開された商品として申し込める窓口があるか」という観点では、3行に明確な差があります。
三井住友銀行「直担アパートローン」の中身
3行のなかで唯一、条件が公開されています。以下は公式サイトに掲載された商品内容(2020年4月1日現在の表示)です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 利用できる方 | 借入時に満20歳以上の個人。実質個人とみなされる不動産管理会社も対象(銀行所定の条件あり) |
| 使いみち | アパート・マンション等賃貸住宅の建築・購入・リフォーム資金およびその借り換え資金。所有するアパート等の底地買取にも利用可(同行の既存ローンの借り換えには利用不可) |
| 融資金額 | 200万円以上、当該賃貸物件の建築・購入価格等の範囲内(10万円きざみ)。担保物件の評価により制限あり |
| 融資期間 | 1年以上最長35年以内。固定金利特約型は2年以上最長35年以内(物件構造等により上限が変わる) |
| 金利種類 | 変動金利型(短期プライムレートに連動する長期貸出金利を基準に決定、毎月見直し)/固定金利特約型(2・3・5・10・15・20年から選択)。適用利率は窓口照会 |
| 団体信用生命保険 | 任意加入。加入する場合は融資利率に年0.3%上乗せ。借入時満20歳〜満70歳、完済時満80歳まで、加入金額の上限は1億円 |
| 保証料 | 不要 |
| 手数料 | 新規融資時のローン取扱手数料 110,000円(税込)。固定金利特約型の選択時 11,000円(税込)、返済条件変更時 5,500円(税込)ほか |
| 保証人 | 個人の借り入れは原則不要(審査により法定相続人へ連帯保証を求める場合あり) |
| 担保 | 取得物件(建物取得時は土地・建物の双方)に同行を抵当権者とする抵当権を設定 |
| 返済方法 | 元利均等・元金均等から選択。ボーナス返済は利用不可。固定金利期間中の繰上返済は原則不可 |
| その他 | 借入期間中、賃料収入の状況等に関する資料の提出が必要 |
※出典:三井住友銀行「アパートローン」公式ページ(商品内容は2020年4月1日現在の表示)。最新の適用利率および取扱条件は必ず同行の窓口でご確認ください。
この条件から読み取れる3つのこと
①「投資用ローン」ではなく「賃貸住宅オーナー向けローン」である。 公式ページの見出しは「賃貸住宅オーナーのみなさまを応援します」で、想定されているのは土地を持つ人のアパート建築、底地買取、既存賃貸物件のリフォームです。区分マンション1室を投資目的で買う層を主対象にした商品ではありません。
②金利が公開されていない。 住宅ローンは店頭金利が公開されているのに対し、アパートローンは「窓口までお問い合わせください」となっています。これは案件ごとに物件評価と個人属性で条件が変わることを意味します。ネット上の「メガバンクは年1.5〜2.5%」といった相場情報は参考値であり、自分に適用される金利ではありません。
③団信が任意で、付けると年0.3%上乗せ。 住宅ローンでは団信が金利に含まれるのが一般的ですが、アパートローンでは別建てです。返済比率の計算では、この0.3%を織り込んでおく必要があります。団信の考え方は属性別・不動産投資ローン 銀行選びガイドでも触れています。
なぜメガバンクは個人の区分マンション投資に向きにくいのか
担保評価が積算寄りで、区分は数字が出にくい
メガバンクの融資判断は、物件の担保評価を重視します。土地の路線価と建物の再調達価格を積み上げる積算評価では、敷地権の持分が小さい区分マンションは評価が伸びにくく、特に都心の高価格帯物件では価格と評価の乖離が大きくなります。この点、収益還元を重視するノンバンク・地銀系とは審査の土俵が違います。
1件あたりの金額が小さく、採算に合いにくい
ローン取扱手数料が110,000円という設定は、数千万円〜数億円規模の案件を前提にした水準です。2,000万円台の区分マンション1室に、メガバンクが積極的に人員を割く経済合理性は高くありません。
それでもメガバンクを狙う価値があるケース
逆に言えば、次の条件が揃う人にはメガバンクは有力な選択肢です。
- すでに土地を所有していて、賃貸住宅を建てる(相続・資産承継が絡む)
- 自己資金が厚く、一棟または1億円超の案件を検討している
- 給与所得だけでなく、既存の賃貸事業の実績と決算書を提示できる
区分マンション投資では、どこを見るべきか
年収500〜1,000万円の会社員が都内の区分マンションを購入する場合、現実的な融資先はメガバンク以外にあります。当サイトでは、各行の決算資料(IR)から不動産投資ローンへの姿勢を定量的に比較しています。
- 2026年3月期 銀行決算で判明|不動産投資ローンに積極的な銀行を定量比較——スルガ・オリックス・横浜FG・ふくおかFGの貸出動向をIRベースで比較
- 不動産投資ローン 銀行比較ランキング【2026】——金利・融資条件・対象属性で横並び比較
- 属性別・不動産投資ローン 銀行選びガイド——年収・勤務先・自己資金から逆算
- 不動産投資ローンの審査基準【2026】——通らない理由を先に潰す
また、金利上昇局面では「どこで借りるか」と同じくらい「借りたあとどうするか」が効いてきます。借り換え完全ガイドと金利上昇後の対応|繰上返済・固定切替の判断もあわせてご確認ください。変動金利のリスクを数字で見たい方は変動金利リスクを数字で見るが参考になります。
よくある質問(FAQ)
Q1:三菱UFJ銀行やみずほ銀行では、投資用不動産の融資は一切受けられないのですか?
そうとは限りません。本記事で確認したのは「個人向けに公開されている商品ラインナップ」です。三菱UFJ銀行の個人向けローン金利ページにアパートローンの掲載はなく、みずほ銀行の住宅ローンは賃貸目的に利用できないと明記されていますが、法人取引や個別案件としての対応は公開情報の範囲外です。既存の取引状況によって話は変わるため、取引のある支店に直接確認するのが確実です。
Q2:三井住友銀行のアパートローンで区分マンションは買えますか?
使いみちは「アパート・マンション等賃貸住宅の建築・購入」とされており、文言上は購入資金として想定されています。ただし融資金額が200万円以上で担保物件の評価による制限があり、想定されている顧客像は賃貸住宅オーナーです。区分1室での申し込みが現実的かどうかは、物件と属性次第となるため窓口での確認が必要です。
Q3:メガバンクの金利はどのくらいですか?
三井住友銀行のアパートローンは適用利率を公開しておらず、「当行国内本支店窓口までお問い合わせください」としています。変動金利型は短期プライムレートに連動する長期貸出金利を基準に決定されるため、政策金利の動向に影響を受けます。ネット上で見かける「1.5〜2.5%」といった数値は各社がまとめた参考値であり、審査結果として提示される条件とは異なります。
Q4:団信を付けないほうが得ですか?
金利だけを見れば付けないほうが年0.3%分は有利です。ただし団信は借入者に万一のことがあった際に残債が完済される保険であり、家族に負債を残さないための仕組みです。年0.3%のコストと、既に加入している生命保険でカバーできる範囲を比較して判断してください。なお加入金額の上限は1億円、完済時年齢は満80歳の誕生日までとされています。
Q5:メガバンクで断られたら、次はどこに相談すべきですか?
属性と物件タイプによって答えが変わります。区分マンションであれば信販系・ノンバンク・一部の地銀、一棟であれば地銀・信金が現実的な候補です。属性別・不動産投資ローン 銀行選びガイドで年収帯ごとの整理をしています。
銀行別の不動産投資ローン分析【2026年版】
金利は銀行ごとに0.5〜1.5%程度の開きがあり、同じ物件でも借入先で手残りが大きく変わります。当サイトでは主要行それぞれの融資姿勢を、公開されているIR・決算データをもとに個別に分析しています。
- 静岡銀行:IR決算で読む積極融資の実態。県外・投資用にも前向き
- オリックス銀行:不動産投資ローン専業に近い体制。金利・審査基準を詳解
- 横浜銀行:関東最大地銀。IRデータで読む融資姿勢
- 千葉銀行:アパートローン金利1.27%〜。審査ラインは年収1,000万円
- 東京スター銀行:預金連動型の特徴とオリックス銀行との違い
- メガバンク3行(このページ)
- 銀行決算で定量比較:2026年3月期決算でスルガ・オリックス・横浜FG等を横並び比較
横並びで比較したい方は不動産投資ローン 銀行比較ランキング【2026年版】地銀・ノンバンク・都市銀行の特徴を一挙解説、ご自身の年収・職業でどこに当たるべきか知りたい方は属性別・不動産投資ローン 銀行選びガイド【2026年版】年収・職種・物件タイプ別の最適解、審査の通し方は不動産投資ローン審査の通し方【2026年版】年収・属性・NGポイントを解説をご覧ください。
まとめ
- メガバンク3行のうち、個人向けアパートローンを公式サイトで商品として公開しているのは三井住友銀行のみ
- 三菱UFJ銀行の個人向けローン金利一覧にアパートローンの掲載はなく、みずほ銀行の住宅ローンは賃貸目的での利用ができないと明記されている
- 三井住友銀行の直担アパートローンは200万円以上・最長35年・保証料不要だが、金利は非公開で窓口照会、団信は任意加入で年0.3%上乗せ、取扱手数料は110,000円(税込)
- 商品の想定顧客は賃貸住宅オーナー(土地活用・一棟)であり、区分マンション1室の投資家が主対象ではない
- 年収500〜1,000万円台で都内の区分を検討するなら、IRベースで融資姿勢を比較した記事から現実的な候補を絞るのが早い
▶あわせて読みたい:区分マンション投資 東京 完全ガイド【2026年版】
※本記事は各行が公式サイトで公開している情報(2026年8月時点で確認)に基づいて作成しています。商品内容・適用利率は変更される場合があるため、実際のお申し込みにあたっては必ず各金融機関の最新の商品説明書および窓口でご確認ください。本記事は特定の金融商品の勧誘を目的とするものではありません。
あわせて読みたい:変動金利が何に連動して動いているのか、自分の借入先が短プラを参照しているかどうかは短期プライムレートとは?不動産投資ローンへの影響と銀行選びの落とし穴で整理しています。