2026年公示地価で読む東京23区|商業地+12.2%・全23区上昇のなか投資妙味はどこに残るか

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国土交通省が2026年3月に公表した公示地価(2026年1月1日時点)は、全国平均が前年比+2.8%で5年連続の上昇となりました。東京はそれを大きく上回るペースで、23区では下落した区がひとつもありません。

地価が上がることは、すでに物件を持っている人には資産価値の上昇として歓迎されます。しかしこれから買う人にとっては、取得価格が上がる=利回りが下がることを意味します。この記事では2026年の地価データを整理したうえで、投資家目線でどこに妙味が残っているのかを考えます。

2026年公示地価の全体像

全国と東京の対比

区分 全国平均 東京都
全用途平均 +2.8% +8.4%
住宅地 +2.1% +6.5%
商業地 +4.3% +12.2%

東京は住宅地・商業地とも5年連続の上昇です。商業地の+12.2%は全国平均の約3倍で、インバウンド需要とオフィス需要の回復が地価を押し上げた形です。

東京23区の内訳

  • 23区平均の変動率は+8.99%、下落した区はゼロ
  • 上昇幅が前年より拡大した区は19区
  • 上昇率トップは台東区(+18.50%)
  • 坪単価トップは中央区(約3,317万円/坪)
  • 住宅地の上昇率では港区が+16.6%で23区トップ
  • 墨田区・荒川区など比較的割安なエリアの上昇が目立つ

参考までに、2026年(令和8年)の最高路線価は中央区銀座5丁目・銀座中央通りで1㎡あたり5,336万円(前年比+11%)でした。

投資家がこのデータから読むべき3点

① 「割安エリア」の割安さが消えつつある

注目すべきは、上昇率トップが港区や中央区ではなく台東区(+18.50%)だという点です。墨田区・荒川区も上昇が目立ちます。

これは、都心一等地の価格が実需層・投資家の手の届かない水準まで上がった結果、買い手が周縁エリアへ流れていることを示します。かつて「都心に近いのに安い」と言われた城東エリアの優位性は、急速に縮んでいます。

② 地価上昇と家賃上昇は同じスピードでは進まない

ここが投資判断の要点です。地価が+8.99%上がっても、家賃が同じだけ上がるわけではありません。実際、東京23区のワンルーム賃料は26か月ぶりの下落を記録した局面もありました。

取得価格だけが上がり、家賃が横ばいなら、利回りは機械的に低下します。3,000万円で年間家賃120万円なら表面4.0%ですが、同じ物件が3,300万円になれば表面3.6%です。エリア別の家賃水準は東京23区の家賃相場2026、利回り水準は東京の不動産投資 利回り相場で確認できます。

③ 金利上昇と同時進行している点が最大のリスク

2026年は地価上昇と金利上昇が同時に起きているという点で、過去の上昇局面と性質が異なります。政策金利は1.00%まで上がり、10月からは多くの銀行が変動金利を0.25%程度引き上げます。

取得価格が上がって利回りが下がる一方、返済負担は増える——この二重の圧力が、フルローンでの新規取得のハードルを急速に上げています。具体的な返済額の変化は2026年10月の変動金利引き上げで試算しています。

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区分マンション投資に絞ると何が起きるか

地価は土地の価格です。一棟や戸建てなら影響は直接的ですが、区分マンションでは土地の持分割合が小さいため、地価上昇がそのまま物件価格に反映されるわけではありません。それでも次の3つの経路で確実に効いてきます。

経路1: 新築の分譲価格が上がる

デベロッパーの用地取得コストが上がれば、新築マンションの分譲価格に転嫁されます。新築が上がれば、比較対象である中古の価格も引き上げられます。区分投資家にとっては取得価格の上昇圧力です。

経路2: 固定資産税・都市計画税が上がる

地価上昇は評価替えを通じて固定資産税評価額に反映されます。評価替えは3年ごとで、地価上昇局面では保有コストが階段状に上がっていきます。土地負担調整措置により急激な増加は緩和されますが、方向としては増加です。年間のランニングコスト全体は初期費用・ランニングコスト全一覧で確認できます。

経路3: 相続税評価額が上がる

路線価は公示地価の8割程度を目安に設定されます。地価が上がれば路線価も上がり、相続税評価額が上昇します。資産承継を視野に入れている場合は、この点も収支とは別に考慮が必要です。

売る側から見た2026年

ここまでは買う側の話ですが、すでに保有している人にとって2026年は売却を検討しやすい環境です。5年連続の地価上昇で含み益が出ている物件は少なくありません。ただし譲渡所得税は保有期間5年を境に税率が変わるため、取得時期の確認が先です。判断軸は出口戦略の記事にまとめています。

この局面で投資妙味が残る条件

地価が全区で上がっている以上、「安く買えるエリア」を探す発想は成立しにくくなっています。代わりに次の3つの条件で考えるのが現実的です。

条件1: 家賃が下がりにくい立地であること

地価上昇が続くと予想されるエリアより、家賃の下落耐性が高いエリアを優先します。単身者の実需が厚く、複数路線が使え、大学・オフィスが近い場所です。空室率のデータは東京23区の空室率・賃料データにまとめています。

条件2: 自己資金を入れて収支を成立させられること

表面利回り3%台の都心区分をフルローンで買うと、返済と運営費で手残りがマイナスになるケースが珍しくありません。自己資金を2〜3割入れて初めて収支が回るという前提で資金計画を立てるべき局面です。

条件3: 出口で買い手がつく物件であること

地価上昇局面で買うということは、高値で仕込むリスクを取るということです。だからこそ、売却時に買い手が見つかりやすい条件——駅徒歩10分以内、専有面積25㎡以上、管理状態が良好——を満たしているかが重要になります。判断軸は出口戦略と売却タイミングで解説しています。

数字を鵜呑みにしないための注意点

公示地価は1月1日時点の標準地の価格であり、実際の取引価格そのものではありません。また区の平均値は、区内の一部地点の動きに強く引っ張られることがあります。台東区+18.50%という数字も、区内全域が一律に18%上がったという意味ではありません。

投資判断では、公示地価は「大きな流れを掴む指標」として使い、実際の購入判断は個別物件の取引事例と収支で行うのが基本です。各種データの出典は東京・首都圏の不動産投資データ集に整理しています。市況全体の見方は東京マンション価格2026年最新もあわせてご覧ください。

まとめ

  • 2026年公示地価は東京都で全用途+8.4%、商業地+12.2%、住宅地+6.5%。5年連続の上昇
  • 23区平均は+8.99%、下落した区はゼロ。上昇率トップは台東区+18.50%
  • 周縁エリアの上昇が目立ち、「割安エリア」という選択肢は狭まっている
  • 地価は上がっても家賃は同じだけ上がらないため、新規取得の利回りは低下する
  • 金利上昇と同時進行のため、フルローン前提の計画は成立しにくい

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※本記事は2026年9月時点の公開情報にもとづく情報提供であり、特定の投資判断を推奨するものではありません。公示地価は国土交通省が公表する2026年1月1日時点の標準地価格です。数値は各公表資料にもとづきますが、最新の詳細は原典をご確認ください。

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